ホテルマンとして働く私たちの頭の中を、ちょっとだけお見せしちゃいます。
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34日間にわたる過酷なチェックイン・トレーニングを終え、私は博多へ戻ってきた。
改めてクリオコートのカウンターへと向かった。
そこには、私を以前出迎えたフロントマンが立っていた。
「お疲れ様でございました。無事トレーニングを終えられたのですね」
「ええ、長くつらいトレーニングでした。しかし、その分今の私にはみなぎるパワーが違います」
「そうでしょう。お客様、見違えるほどたくましくなっています」
フロントマンはレジストレーションカードを差し出した。
「さあ、ではこちらにご記入をお願いいたします」
私はその用紙を見て、思わず落涙してしまった。
思えばなんと長いトレーニングだったことか。
ついに念願のチェックインをすることができる。
ペンを持つ手が震えていた。
フロントマンもその様子をじっと見つめている。
やっとの思いで私は記帳を終えた。
大きく息を吐いていた。
フロントマンが小さく拍手をしてくれた。
「おめでとうございます」
私は頬を伝う涙をしきりに拭いた。
フロントマンは私に笑みを浮かべ言った。
「それでは前預かりですのでご料金をお願いいたします」
私はハッとして固まった。
ヘリはゆっくりと海の上を越えていく。
膝の上に操縦士から渡された袋が置いてある。
中の服に着替えろと以前と同じ屈強な黒人があごをしゃくっている。
はあ、と深いため息を吐きながら袋を開けた。
なんで財布を忘れてしまったんだろう・・・・
おかげでチェックイン・トレーニングのやり直し。
しかも次はさらに過酷な内容となるようだ。
遠ざかる博多の地を思って私は一筋の涙を流した。
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改めてクリオコートのカウンターへと向かった。
そこには、私を以前出迎えたフロントマンが立っていた。
「お疲れ様でございました。無事トレーニングを終えられたのですね」
「ええ、長くつらいトレーニングでした。しかし、その分今の私にはみなぎるパワーが違います」
「そうでしょう。お客様、見違えるほどたくましくなっています」
フロントマンはレジストレーションカードを差し出した。
「さあ、ではこちらにご記入をお願いいたします」
私はその用紙を見て、思わず落涙してしまった。
思えばなんと長いトレーニングだったことか。
ついに念願のチェックインをすることができる。
ペンを持つ手が震えていた。
フロントマンもその様子をじっと見つめている。
やっとの思いで私は記帳を終えた。
大きく息を吐いていた。
フロントマンが小さく拍手をしてくれた。
「おめでとうございます」
私は頬を伝う涙をしきりに拭いた。
フロントマンは私に笑みを浮かべ言った。
「それでは前預かりですのでご料金をお願いいたします」
私はハッとして固まった。
ヘリはゆっくりと海の上を越えていく。
膝の上に操縦士から渡された袋が置いてある。
中の服に着替えろと以前と同じ屈強な黒人があごをしゃくっている。
はあ、と深いため息を吐きながら袋を開けた。
なんで財布を忘れてしまったんだろう・・・・
おかげでチェックイン・トレーニングのやり直し。
しかも次はさらに過酷な内容となるようだ。
遠ざかる博多の地を思って私は一筋の涙を流した。
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夜勤でバックヤードにいると、音だけで誰が来たかだいたい分かるようになってきます。
「とすとすとすとすとすとすとすとす」
これは仕事で遅くまで残っているうちのスタッフの足音。
「だうんだうんだうんだうんだうんだうん」
これはお酒が入って帰りが遅くなったビジネスのお客様。
酔いもあってふらつくので倒れないよう一歩一歩踏みしめるような足音がします。
「しゅかっしゅかっしゅかっしゅかっしゅかっ」
これはタバコを買いにスリッパで降りてきたお客様。
ちなみに帰り際は「しゅさっしゅさっしゅさっしゅさっしゅさっ」と若干変わります。
「さりさりさりさりさりさり、ぽすっ、さりさりさりさり」
これは足音というよりも服のこすれる音なんですが、新聞配達の方が新聞を届ける時の音。
「さりさりさり」よりは「サリサリサリサリサリ」の方が近いかも知れません。
「―――――――――しゃんっしゃらしゃらおはようございまーす!」
これは今行っている駅弁付きプランの駅弁を届けてくださっている中央軒の方の音。
足音は聞いた覚えがないように思います。
だからいつも最初に聞くのは駅弁の入ったビニール袋をカウンターに置く「しゃんっ」という音で、結構響くのでビクッとなるのが常です。
配達の方たちの足音が聞こえない原因についていくつか考えられるものがあります。
①中央軒の方の靴になんらかの細工がある
②中央軒の方は実は忍びの者である
③中央軒の方はよく見ると床から2㎝くらい浮いている
④中央軒の方が来る時に私の意識が飛んでいる
⑤中央軒の方は私の空想の産物である
中央軒の方が特殊な身体能力を持っているか、はたまた単に私がおかしいのか、今後原因究明のために全力を尽くそうと思います。
さあ今日も夜が更けていきます。
耳を澄ませば聞こえる足音。
「ずべばっちょきんぐふいらむるんごふいーらふいーら」
うーん、これはあれだな・・・・・なんだぁ?!
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これは仕事で遅くまで残っているうちのスタッフの足音。
「だうんだうんだうんだうんだうんだうん」
これはお酒が入って帰りが遅くなったビジネスのお客様。
酔いもあってふらつくので倒れないよう一歩一歩踏みしめるような足音がします。
「しゅかっしゅかっしゅかっしゅかっしゅかっ」
これはタバコを買いにスリッパで降りてきたお客様。
ちなみに帰り際は「しゅさっしゅさっしゅさっしゅさっしゅさっ」と若干変わります。
「さりさりさりさりさりさり、ぽすっ、さりさりさりさり」
これは足音というよりも服のこすれる音なんですが、新聞配達の方が新聞を届ける時の音。
「さりさりさり」よりは「サリサリサリサリサリ」の方が近いかも知れません。
「―――――――――しゃんっしゃらしゃらおはようございまーす!」
これは今行っている駅弁付きプランの駅弁を届けてくださっている中央軒の方の音。
足音は聞いた覚えがないように思います。
だからいつも最初に聞くのは駅弁の入ったビニール袋をカウンターに置く「しゃんっ」という音で、結構響くのでビクッとなるのが常です。
配達の方たちの足音が聞こえない原因についていくつか考えられるものがあります。
①中央軒の方の靴になんらかの細工がある
②中央軒の方は実は忍びの者である
③中央軒の方はよく見ると床から2㎝くらい浮いている
④中央軒の方が来る時に私の意識が飛んでいる
⑤中央軒の方は私の空想の産物である
中央軒の方が特殊な身体能力を持っているか、はたまた単に私がおかしいのか、今後原因究明のために全力を尽くそうと思います。
さあ今日も夜が更けていきます。
耳を澄ませば聞こえる足音。
「ずべばっちょきんぐふいらむるんごふいーらふいーら」
うーん、これはあれだな・・・・・なんだぁ?!
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ホテルをチェックアウトし、地下鉄に乗り、空港について搭乗手続きを済ませ、待合室の椅子の上で一息ついて、さあまだ少し時間もあるからTwitterでも見ようかとポケットを探った時、やっと携帯がないことに気づいた。
ズボンのポケットと胸ポケットと探ってもなく、カバンものぞいたが見当たらない。
こりゃホテルに忘れてきたなと思い、早速ホテルに携帯で電話した。
呼び出し音が3コール鳴ったところで電話がつながった。
「お電話ありがとうございます、ホテルクリオコート博多でございます」
「えー、さっきチェックアウトした○○号室の△△だけど、部屋に携帯忘れてなかった?」
「それではお部屋を確認いたしまして、折り返しご連絡させて頂きます」
そのホテルスタッフに連絡先を告げ、電話を切った。
連絡を待つ間ヒマなので、携帯でTwitterを開いた。
さて、この話、変なところがあると思いますか?
まったくおかしなところはないんですよ。
そう、彼は携帯を2つ持っているんです。
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こりゃホテルに忘れてきたなと思い、早速ホテルに携帯で電話した。
呼び出し音が3コール鳴ったところで電話がつながった。
「お電話ありがとうございます、ホテルクリオコート博多でございます」
「えー、さっきチェックアウトした○○号室の△△だけど、部屋に携帯忘れてなかった?」
「それではお部屋を確認いたしまして、折り返しご連絡させて頂きます」
そのホテルスタッフに連絡先を告げ、電話を切った。
連絡を待つ間ヒマなので、携帯でTwitterを開いた。
さて、この話、変なところがあると思いますか?
まったくおかしなところはないんですよ。
そう、彼は携帯を2つ持っているんです。
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京子はイライラしていた。
その原因はいくつかあった。新しく移った職場の慣れない雰囲気、人を小馬鹿にするような上司、やたらしつこくなってきた両親からの結婚の催促、今付き合っている恋人との膠着状態。
そして今朝から続く雨で、お気に入りのパンプスがびしょ濡れであること。
仕事で来ていた博多のホテルの部屋で、彼女は眉間に皺をよせていた。
ああ、イライラする。
彼女は不意に立ち上がってうろうろと部屋を歩き回る。感情が高ぶっている時の彼女の癖だった。
3往復ほどしたとき、立ち止まって深く息を吐いた。
はあ。
気持ちを切り替えようと、彼女は頭を振った。
のどが渇いた。
飲み物を買うため鍵を探した。
ない。
彼女の中で焦りと怒りの混じった感情がふつふつと湧いてくる。テーブルの上を見、ベッドの上を見、バッグの中を探し、浴室も見渡した。しかし、どこにもない。自分の行動を振り返ってみる。フロントで鍵をもらってから一直線に部屋まで来た。それからこの部屋は出ていないため、少なくとも室内にあるはずである。いや、もしかするとドアのところに差しっぱなしだったかもしれないと思い、そこも見てみたが何もなかった。フロントに届いていないか電話してみるも、なし。落ち着いた方向へ向かっていた彼女のイライラがまた復活してきた。
なんで私だけこうなんだ。
彼女の怒りはじわじわと高まってくる。なかばやけくそでベッドシーツをはぎ、枕をはらいのけてみたが、ベッドにはやはりない。テーブルの上の書類をまとめて掴みあげてもう一度見てみたが影も形もない。しばし怒りに任せてガタガタと音を立てながら、むしろ暴れているような格好で探しまわった。ない、ない、ない。どこにも見当たらない。ひとしきり暴れた後、急激に疲れが襲ってきて、彼女は椅子にへたり込んだ。
・・・・・。
背もたれに体を預け、天井をぼんやりと見上げる。なんだか疲れてしまった。このまま眠ってしまおうかと、目を閉じた。
その時、携帯の着信音が鳴り始めた。ソファに置いたバッグから聞こえる。ちらりとそちらを見て、無視しようとまた目を閉じたが、一向に鳴り止みそうにない着信音にまた目を開けた。すっかり重くなった体をなんとか動かしてバッグを取った。サイドの小ポケットから取り出そうとしたとき、ぽろりと何かが床に落ちた。
部屋の鍵だった。
一時、彼女はその鍵をじっと見つめたままだった。やがて、口の端でかすかに笑った。あれだけバッグの中も探したのに、必死になってベッドはがしたり書類散らかしたりしていた自分がバカみたい。
そこで彼女はふと気付いた。探しているものは本当はいつも目の前にあるんじゃないだろうかと。愛だとかお金だとか求めるものはいくらでもあるけれど、暴れてそれを見えなくさせていたのは自分自身だったのかもしれない。
そう考えた時に、彼女の心は少し軽くなった。なんだ、すごく単純なことじゃない。もっと自分の近くをゆっくりと見回してみればいいんだ。
鳴っている携帯のディスプレイには恋人の名前が表示されている。ささいなすれ違いで最近はろくに会っていない。たまに連絡があっても仕事だからと避けてきた。でも、今彼からの電話がなければ鍵も見つからずイライラはさらに増していただろう。
たまには電話、出てあげるか。
彼から電話がある度いつも感じていた暗い感情は彼女になかった。ためらうこともなく彼女は受信ボタンを押した。
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その原因はいくつかあった。新しく移った職場の慣れない雰囲気、人を小馬鹿にするような上司、やたらしつこくなってきた両親からの結婚の催促、今付き合っている恋人との膠着状態。
そして今朝から続く雨で、お気に入りのパンプスがびしょ濡れであること。
仕事で来ていた博多のホテルの部屋で、彼女は眉間に皺をよせていた。
ああ、イライラする。
彼女は不意に立ち上がってうろうろと部屋を歩き回る。感情が高ぶっている時の彼女の癖だった。
3往復ほどしたとき、立ち止まって深く息を吐いた。
はあ。
気持ちを切り替えようと、彼女は頭を振った。
のどが渇いた。
飲み物を買うため鍵を探した。
ない。
彼女の中で焦りと怒りの混じった感情がふつふつと湧いてくる。テーブルの上を見、ベッドの上を見、バッグの中を探し、浴室も見渡した。しかし、どこにもない。自分の行動を振り返ってみる。フロントで鍵をもらってから一直線に部屋まで来た。それからこの部屋は出ていないため、少なくとも室内にあるはずである。いや、もしかするとドアのところに差しっぱなしだったかもしれないと思い、そこも見てみたが何もなかった。フロントに届いていないか電話してみるも、なし。落ち着いた方向へ向かっていた彼女のイライラがまた復活してきた。
なんで私だけこうなんだ。
彼女の怒りはじわじわと高まってくる。なかばやけくそでベッドシーツをはぎ、枕をはらいのけてみたが、ベッドにはやはりない。テーブルの上の書類をまとめて掴みあげてもう一度見てみたが影も形もない。しばし怒りに任せてガタガタと音を立てながら、むしろ暴れているような格好で探しまわった。ない、ない、ない。どこにも見当たらない。ひとしきり暴れた後、急激に疲れが襲ってきて、彼女は椅子にへたり込んだ。
・・・・・。
背もたれに体を預け、天井をぼんやりと見上げる。なんだか疲れてしまった。このまま眠ってしまおうかと、目を閉じた。
その時、携帯の着信音が鳴り始めた。ソファに置いたバッグから聞こえる。ちらりとそちらを見て、無視しようとまた目を閉じたが、一向に鳴り止みそうにない着信音にまた目を開けた。すっかり重くなった体をなんとか動かしてバッグを取った。サイドの小ポケットから取り出そうとしたとき、ぽろりと何かが床に落ちた。
部屋の鍵だった。
一時、彼女はその鍵をじっと見つめたままだった。やがて、口の端でかすかに笑った。あれだけバッグの中も探したのに、必死になってベッドはがしたり書類散らかしたりしていた自分がバカみたい。
そこで彼女はふと気付いた。探しているものは本当はいつも目の前にあるんじゃないだろうかと。愛だとかお金だとか求めるものはいくらでもあるけれど、暴れてそれを見えなくさせていたのは自分自身だったのかもしれない。
そう考えた時に、彼女の心は少し軽くなった。なんだ、すごく単純なことじゃない。もっと自分の近くをゆっくりと見回してみればいいんだ。
鳴っている携帯のディスプレイには恋人の名前が表示されている。ささいなすれ違いで最近はろくに会っていない。たまに連絡があっても仕事だからと避けてきた。でも、今彼からの電話がなければ鍵も見つからずイライラはさらに増していただろう。
たまには電話、出てあげるか。
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