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ホテルマンとして働く私たちの頭の中を、ちょっとだけお見せしちゃいます。
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自分の部屋の前へと戻ってきた。

ああ、なんだったんだ今のは?とても恐ろしい光景だった。

荒涼とした砂漠が延々と続く景色。周りを見る限り、そう時間は経っていないようだが、あの砂漠に何時間もいたような感じがする。暗いし寒いし、出口を求めて必死に駆け回っていた。

握りしめているリモコン。ボタン「1」の上に親指を乗っけたまま固まったように手が貼り付いている。

これはチャンネルを変えたということになるのだろうか?今見えているこの世界がチャンネル1で、あの恐ろしくスローモーで寂しい砂漠がチャンネル5ということか。ならば、リモコンには0から9まであるから、またそれぞれに違った世界が展開しているということだろうか。

私はなんだか背筋がゾクゾクしていきた。恐怖心と興奮からだった。違った世界に放り込まれることへの恐怖と、どこかでその恐怖を体験してみたいとはやる気持ちからくる興奮だ。いったい、他のチャンネルにはどんな世界が広がっているのだろう。

しばらくリモコンを見つめていたが、いいや、もう何も押すまいと腕を下ろした。そのままぽいと床へ放り投げた。

とかくこの物語には謎が多すぎる。謎にはなんらかの解決が見えないと納得もいかないのに、作者はそこを全く考えずに書いているものだから、次々と謎を出して少しでも後回しにしようと時間稼ぎをしている。このままではいかん。なんらかの、もうこうなったらこじつけでもいいから解決を与えないと、このままグダグダ続くことになる。作者がこれからどう進めていくつもりか知らないが、私は私で動いてやる。

意気込んだ私は、部屋へ上がり、リモコンの上に転がっている携帯を拾い上げた。電話をかける。何やら変な音がしてつながらない。作者め、私の暴走を止めようと電話がつながらないような設定にしやがったな。そうはさせんぞ。一回切ってもう一度かけ直す。風船がしぼむような音とともに、またしても電話は不通になる。私は次第にイライラしてきて、力の限り叫んだ。

「余計な邪魔すんなっ!!」

小心者の作者のことだ、今の一発で怯えているに違いない。もう一度電話をかけると、今度はあっさりつながった。口の端で笑う。

「もしもし」「おう、タカシか」「なんだどうした」「いや、これから会えないか」「これから?ああ、別にいいが」「いろいろ聞きたいことがあってな」「聞きたいこと?」「ああ、会ってから話す」そして私は駅前の喫茶店の名前を出し、そこで20分後に落ち合うことになった。

私は階下へ下り、デコボコの道を車体をグラグラ揺らしながら走るタクシーに乗って駅前にたどりついた。待ち合わせの喫茶店はいつもどおり空いてるでもなく混んでいる訳でもない、普段どおりのままだった。ただひとつ、そこらじゅうがリモコンで埋め尽くされている以外は。

入ろうとドアに向かう途中で、作者の妨害か、横から大勢の自転車が走ってきて道を阻んだが、それをなんなくすり抜け、中へと入った。店内を見渡した限りでは、まだタカシは来ていないようである。

適当な席に座り、頼んだコーヒーを店員が持ってきた頃に、入口にタカシの姿が見えた。

(つづく)

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