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ホテルマンとして働く私たちの頭の中を、ちょっとだけお見せしちゃいます。
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色黒の兄弟二人は満面の笑みを浮かべてこちらを覗きこんでいる。見れば、今は作業着ではなく、宅配業者の格好をしている。

「栗田さんかなー」「なー」

相変わらずのテンポで二人は尋ねる。

「あ・・・ええ、そうですけど・・・」

「お届け物だわー」「わー」

「あ・・・はぁ・・・」

二人はひとつの小さな段ボール箱を両側から支えながらうやうやしく差し出す。伝票といったものは何も貼っておらず、ただマジックで「栗田へ」と大きく書かれているだけだ。

「あの・・・伝票とかはないんですか」

「そんなもんは特にねぇべなー」「なー」

「これじゃあ、誰からかも分からないし、中身も分からないんで・・・・」

「そんなもんうちらは知らんがな。うちらの仕事はただ荷物を届けるだけだ」「んだ」

「でも何かも分からないのに受け取れないでしょ」

「うるしゃーなー。さっさと受け取れぃ」「えい」

二人は箱を押しつける様に突き出してきた。慌ててこちらも押し返す。二人は逆上して顔を真っ赤にし、さらにぐいぐい押しつけてきた。何が何でも受け取るまいと突っ放し、いつのまにやら互いに箱を投げつけあっていた。

「俺はこんなもんいらん!」

「知らん!受け取らんか!」「かー!」

箱は衝撃でかなりボコボコになっていた。それでも構わず向こうが投げつけてきたので思いっきり投げ返すと、ひとりの肘に当たり箱に穴があいた。

中から、シルバーで厚めのリモコンが転がり落ちた。

(つづく)

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